トレード記録の基礎
FXの収支管理のやり方|エクセルの最小8列と、どこで苦しくなるか
残高は見ているのに、先月いくら負けたかは即答できない。エクセルで始める最小8列の型、崩れる3か所、合計損益より先に見る3つの数字、アプリに移すタイミングを図解で整理。
公開日:2026年9月23日
口座の残高は、毎日見ている。
なのに、先月いくら負けたかは、すぐに出てこない。今年に入ってからの合計も、いちばん溶かした曜日も。
これは収支管理ができていないというより、残高だけを見て「なんとなくの記憶」で管理している状態です。記憶は、直近の数回の結果に引っぱられます。3連勝したあとは調子がいい気がして、3連敗したあとは全部だめに思えてきます。数字ではなく、気分を見ているわけです。
このページでは、FXの収支管理をエクセルでやる場合の最小の型から、どこでエクセルが苦しくなるか、そしてアプリに移すならどのタイミングかまでを順に整理します。無料でどこまでやれるかも書きます。
収支管理には、目的が2つある
同じ「収支管理」でも、狙いが違うと必要な形が変わります。混ぜて考えると、どちらにも中途半端な表ができあがります。
- お金を数えるための管理:1年でいくら利益が出たかを集計する側です。必要なのは、確定した損益と手数料、そして期間の合計。細かさはあまり要りません。
- 上手くなるための管理:どこで勝って、どこで溶かしているかを見つける側です。こちらは合計では足りず、1トレードずつ残っていないと何も分かりません。
この記事が扱うのは、主に2つ目です。ただ、1トレードずつ残してあれば1つ目は自動的に満たせるので、最初から1トレード単位で残しておくのが結局いちばん楽になります。

エクセル・スプレッドシートの最小の型
まずは無料で始められる形から。列は多いほど挫折するので、8列に絞ります。
- ①決済日時(日本時間で入れる)
- ②通貨ペア
- ③売買(買い/売り)
- ④ロット
- ⑤損益(手数料とスワップを引いたあとの金額)
- ⑥損切り幅(pips。入る前に決めた値)
- ⑦根拠(ひとこと。「押し目」「指標前の戻し」など短く)
- ⑧タグ(選択式にする。例:焦り/損切り遅れ/ルール通り/取り返し)
ポイントは⑧のタグを、自由記入にしないことです。スプレッドシートなら「データの入力規則」で選択肢を作っておきます。ここを文章にすると、あとから数えられなくなります。「今日は焦って入ってしまった」という一文は、集計の材料にはなりません。
⑥の損切り幅を入れておくと、あとで1トレードのリスクに対して何倍取れたかが出せます。これは合計損益より正直な数字です。ロットの大小に左右されないからです。

入れ終わったら、ピボットテーブルでタグごとの損益合計と曜日ごとの損益合計だけ作ります。最初はこの2つで十分です。
エクセルが苦しくなる3か所
エクセルは万能ですが、FXの記録に使うと決まったところで引っかかります。先に知っておくと、無駄な時間を使わずに済みます。
①時刻がずれる。 海外の業者からダウンロードした履歴は、日本時間ではありません。サーバー時間のままだと、日本との差は夏で6時間、冬で7時間。深夜に入ったトレードが前日として集計されるので、曜日別も時間帯別も、そのままでは意味を持ちません。直すには、取り込んだあとで時差ぶんを足す列を作ることになります。
②分割決済が別々の行になる。 1回のエントリーを何回かに分けて利確すると、履歴では複数行として出てきます。これを1トレードとして数えないと、勝率もトレード数も実態と合いません。かといって重複を削除すると、消えるのはたいてい大きいほうの行です。勝負どころだけが消えて、合計が別物になります。
③そもそも続かない。 いちばん多いのがこれです。毎日5分のつもりが、忙しい週にまとめてやろうとして、気づけば2週間ぶんが溜まっています。そうなると、もう思い出せません。
合計損益より先に見る3つの数字
収支管理ができてくると、次は「で、この表から何を読むのか」で止まります。合計損益は結果であって、原因ではありません。先に見るべきはこの3つです。
- プロフィットファクター(総利益 ÷ 総損失):1を超えていれば利益体質、下回っていれば損失体質。勝率と勝ち負けの大きさを掛け合わせた総合点です。
- 平均利益と平均損失:この2つを並べると、勝率が高いのに増えない理由が見えます。平均損失のほうが大きければ、いわゆる損大利小です。
- 最大ドローダウン:累積損益が、いちばん高かった地点からどれだけ下がったか。ほかの3つと違って、この数字だけはトレードの順番に影響されます(負けが固まって来たかどうかが出ます)。使いどころは、ロットが自分の資金に対して大きすぎないかの判断です。
その最大ドローダウンには、表に出てこない続きがあります。深さと同じくらい、「どれだけ長く沈んでいたか」が効くということです。同じ落ち込みでも、3日で戻るのと4か月戻らないのとでは、まったく別の体験になります。
深い穴でも、すぐ戻れば「そういう日もある」で済みます。戻らない時間が伸びるほど、焦ってロットを上げたり、取り返しに行ったりしやすくなるんです。エクセルなら、累積損益の隣に「それまでの最高値」を出す列を1つ足すだけで、いま水面下にいるかどうかと、それが何日続いているかが見えます。
勝率は最後でかまいません。勝率が高くても増えていない口座は、めずらしくないからです。それぞれの読み方は勝率・PF・期待値の意味と見る順番で整理しています。

無料でどこまでやれるか
正直に書くと、かなりのところまでやれます。
- できる:8列のシートを作って、月ごと・タグごと・曜日ごとに合計を出す。ピボットテーブルとグラフで、傾向を眺めるところまで。
- だんだん重くなる:時差を直す列、分割決済をまとめる処理、月をまたいだ集計。数が増えるほど、表の管理そのものが仕事になっていきます。
- まず続かない:毎日の手入力。ここだけは、根気の問題ではなく設計の問題です。
なので無料で始めるなら、週に1回、業者の履歴をダウンロードしてまとめて貼る形をおすすめします。毎日打つより、はるかに生き残ります。
アプリに移すタイミング
最初からアプリにする必要はありません。移すとしたら、このどれかが起きたときです。
- 2週間ぶんが未入力で溜まった。入力の方式が自分に合っていないサインです。
- 時差を直す列を作り始めた。ここから先は、表の保守に時間が食われていきます。
- 分割決済をどう数えるかで迷った。手作業でやると、数字が静かにずれます。
- 集計したのに、次に何をすればいいか分からない。数字は出たのに打ち手が出てこない状態です。
逆に、週1回のCSV貼り付けが回っていて、タグ別の損益も見えているなら、急いで移す理由はありません。道具より、続いていることのほうが価値があります。

無料ベータ貼り付けも時差の計算も、やめていい
よくある質問
Q. 収支管理は、どのくらいの頻度でやればいいですか?
Q. スプレッドシートとエクセル、どちらがいいですか?
Q. 損益は、手数料やスワップを引いた金額で入れるべきですか?
Q. 過去の取引を、さかのぼって入れ直すべきですか?